2021年9月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

2021年9月号エスト賃貸経営新聞

今後の景気動向は感染症の行方とワクチン接種の進展にかかっています
コロナ禍に前向きな賃貸住宅市場の調整色強まる


新型コロナウイルス感染拡大の猛威が止まりません。
国民生活の広範囲に影響を及ぼし、賃貸住宅市場においても影を落としています。
消費低迷の回復もコロナ感染の状況次第となっています。
直近の賃貸市場を取り巻く懸案事項をまとめてみました。


いつもの通り、政府と調査会社の景気の現況報告と予測を見ていきます。

景気の指標とされる、内閣府から8月に公表された7月の景気ウォッチャー調査は、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直している。先行きについては、感染症の動向を懸念しつつも、ワクチン接種の進展等によって持ち直しが続くとみている」とまとめています。

(株)帝国データバンクの7月調査では、「7月の景気DIは、前月比1.6ポイント増の40.7となり、2ヵ月連続で改善した。不動産DIは前月比0.9ポイント増の41.8。国内景気は、新規感染者数の増加が続いたものの製造業がけん引し、回復傾向が続いた。今後は、感染拡大防止と経済活性化を見極めつつ、回復傾向で推移すると見込まれる」としています。

やはり今後の景気動向は、感染症とワクチン接種の進展にかかっていることは明白となっています。

ところで市場の賃料傾向として、不動産情報サービスのアットホーム(株)が発表した同社の不動産情報ネットワークにおける、6月の「全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向」によると、マンションの平均募集家賃は、面積帯による傾向の違いが鮮明になり、シングル向きは下落が目立ち、全9エリア中8エリアが前年同月を下回っています。

一方、コロナ禍での賃貸市場で注目されるのが、賃貸住宅の新設の動きです。

貸家の新設着工の勢いが衰えず、6月は前年同月比約12%増の約3万戸で4ヵ月連続の増加となりました。
今年1~6月の半年間の合計でも前年比2.6%増の約15万戸となっています。
公的資金による貸家は減少したが、民間資金による貸家が増加したため、貸家全体で増加となったものです。

前年比でおおよそ4年近く減少を続けていた貸家の着工数が4ヵ月連続で前年同月比プラスとなっているのは、賃貸市場の変動の始まりと見られそうです。

このようにコロナ禍を受けても賃貸住宅の投資が積極的なのは、やはりインカムゲイン(賃料収入)が期待でき、しかも低金利で、金融機関も好物件の融資に前向きな姿勢が背景としてあります。
ただ、統計上の貸家の新設増には、投資用資金による供給が含まれているので、一般的な賃貸住宅の市場ニーズと少し違うかもしれません。
いずれにしてもコロナ禍に貸家の新設が本格化するということは、市場の調整色が強まっているからと見られます。

テレワーク率の下落とオフィス回帰の動き

また、賃貸住宅の需要に影響を及ぼすと見られていた「テレワーク」も、一つの曲がり角を迎えているようです。

不動産評価WEBサイト「TAS-MAP」を運営する(株)タスは、「コロナ後の首都圏住宅市場の見通し」の中で、「テレワーク率はさらに下落し、10%以下まで減少する可能性が高いと考えられます。テレワークを機に地方・郊外移住が進むとの期待がありましたが、データからはコロナ前の状態に9割がた戻りそうです」と、オフィス回帰の動きを分析しています。
しかし、コロナ感染が落ち着かずにソーシャルディスタンスの要望が強まれば、再び出社を抑制する動きが出てくるのは見えているため、今後の感染状況次第ということになりそうです。





社員が警察から感謝状をいただきました
空室巡回時に怪しい人物を発見
宅配業者社員と協力し犯人逮捕に貢献!



宅配の荷物を受け取る目的で空室に無断で侵入した容疑者の逮捕に貢献したとして、弊社メンテナンス事業部 東海林光瑠(25)が東入間警察署長から感謝状をいただきました。

事件は令和3年8月8日12時30分ごろ、ふじみ野市の賃貸アパートで発生。
工事の進捗確認のため、空室を訪れた東海林社員が現地で不審な行動をとる男を発見。

東海林社員が工事請負業者か確認したところ、急いで逃げるような素振があったので、腕を掴んで取り押さえました。
当該空室に荷物を届けに来た配達員の方が警察に通報してくださり、男は駆け付けた警察官に逮捕されました。


東海林社員へのインタビュー

■怪しい人物を見つけたときの印象
「物件周辺の周りを気にしながらウロウロしたり、目が合った時にこちらを何度も確認しながら物件から離れていったので、確信はありませんでしたが思い切って声を掛けました。普段とは違う変化に気付けたのが幸いでした。」

■感謝状をいただき思うこと
「テレビ等で表彰されている姿を見ることはありましたが、私自身がいただく立場になるとは考えてもいなかったので、素直に嬉しく思いました。」

エストハウジングは管理をお任せいただいているオーナー様の賃貸経営のサポートや、管理物件の入居者様の住環境維持だけでなく、社会貢献にも力を入れてまいります。





ニュースフラッシュ
賃貸住宅入居世帯の世帯主は30歳未満が34.1%で最も多く
一世帯当たりの平均居住人数は2人



賃貸住宅入居者の「世帯」に関する特性を、国土交通省が令和3年に公表した「住宅市場動向調査報告書」から見ていきたいと思います。

それによりますと、賃貸住宅入居世帯の世帯主は、30歳未満が34.1%で最も多く、次いで30歳代が26.6%と、40歳以下で6割方を占め、平均年齢は39.3歳となっています。

入居世帯の居住人数は、1人が44.3%で最も多く、次いで2人が27.3%、3人が15.1%。
一世帯当たりの平均居住人数は、2.0人。

また、高齢者がいる世帯は11.4%で、18歳未満のいる世帯は23.7%。
高齢者がいる世帯のうち高齢者のみの世帯の割合は54.2%。
高齢者がいる世帯における高齢者の平均人数は1.3人です。

世帯主の職業は、「会社・団体職員」が43.6%で最も多く、「会社・団体役員」が19.9%、「自営業」が10.5%。
なお、入居世帯の世帯年収は、「400万円未満」が最も多く。平均世帯年収は486万円となっています。





外国人住民は存在感を高めて約281万人
コロナ禍の影響もあって減少に転じる


人口減少が続くわが国にあって、外国人の存在感が年々高まっています。
総務省が8月4日に公表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」をもとに、外国人住民の実態をまとめてみました。


令和3年1月1日現在の住民基本台帳に基づく全国の人口は、総計1億2665万人で、うち外国人は前年に比べて約5万5千人減少し、約281万人。
平成27年以降6年連続で増加していたのが、コロナ禍の影響もあって減少に転じました。

外国人住民人口の出生者数から死亡者数を引いた自然増加数では、日本人とは逆に拡大傾向にあり、令和2年は1万1千人。
出生者数は1万9千人で、死亡者数は8千人とともに平成24年度の調査開始以降最多となっています。

外国人の転入者数から転出者数を引いた社会増減数は、6万6千人減で、増加から減少に転じています。
平成26年以降6年連続で社会増加し、増加数も拡大傾向にありましたが、減少に転じたものです。

また、外国人住民の人口が最も多い都道府県は、東京都で54万7千人。
次いで愛知県の26万7千人、大阪府の25万1千人の順となっています。
人口が多い東京都、愛知県、大阪府、神奈川県、埼玉県の1都1府3県で、全国人口の53%を占めています。

一方、令和3年1月1日現在の全国の世帯数の総計は、5949万7千世帯で、前年より42万6千世帯増となっており、1世帯当たりの平均構成人員は2.13人。
このうち外国人住民の世帯数は164万2千世帯で、前年より4万9千世帯減少し、1世帯当たりの平均構成人員は1.71人となっています。

外国人の賃貸住宅への入居促進に実務対応のマニュアルを作成

ところで、観光ではなく、労働を目的に来日する外国人にとってすぐ必要となるのが住居です。
条件に見合った賃貸住宅を探し始めますが、現状では思うように入居できないようです。

外国人の住居探しに積極的な姿勢の国土交通省は、外国人の賃貸住宅への円滑な入居を図るため、実務対応マニュアルを作成しています。
建物の契約に関して、参考になる基礎的な資料としてまとめられており、外国人との取引の不安解消に役立つ内容となっています。

少子高齢化社会が定着し、日本経済の活性化が急務の課題となっている今日、賃貸住宅の外国人需要の取り組みは待ったなしの時期を迎えているようです。





賃貸経営ワンポイントアドバイス
「掲示板」の積極的な活用を通じて
入居者への注意喚起とサービスを



役立つ生活情報などを掲示

コロナ禍によって、入居者とのコミュニケーションもままならないのですが、そこで、入居者との意思の疎通を図るために、今こそ「掲示板」を積極的に活用されてはいかがでしょうか。

掲示板といっても入居者への連絡事項等を「告知・案内」するのが基本で、貸主側からの案内のほか、作成に余裕があれば入居者に役立つ生活情報などを掲示します。

紙にマジックやボールペンで書けばいいので、いたって簡単です。
また、パソコンでワードなどを使ってイラスト入りのA4カラー印刷にまとめればきれいに仕上がり、注目度は高まるのではないでしょうか。
これをエレベーターの扉横や共用スペースに設置されている掲示板に貼り付ければ効果満点です。

文面などもできるだけ柔らかく、親しみを込めて、お役立てください、といったタッチがいいと思われます。
オーナー様からの住居上の連絡ポイントと同時に、周辺の生活情報を提供すれば情報の価値を高めます。
とくに、防犯・不審者情報は歓迎されるはずです。

というわけで、入居者とのコミュニケーションを深めるためにも「掲示板」をもっと活用されてはいかがでしょうか。
とくに、コロナ禍でソーシャルディスタンスが求められているだけに、掲示板の活用は有効的と思われます。

また、宅地建物取引業法施行規則の一部が改正され、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明が義務化されています。
入居時の物件案内時に水害ハザードマップを使用して説明するのですが、入居後は各自の責任となります。

お盆の大雨のように、相次ぐ大規模な自然災害により甚大な被害が生じていることから、配布されているハザードマップを適時、掲示するなどして、避難所への位置を示し、防災に役立てるのも、入居者への注意喚起とサービスにつながります。





ちょっと一服
ニーズを先取りしてサービスの徹底を図る賃貸住宅の登場


ちょっと変わった賃貸住宅が販売されました。
賃貸併用住宅にゴルフシュミレーターをセットしたもので、スクリーンにゴルフ場のコースをCGで再現して、ゴルフを練習することができます。

スイングしてもクラブが当たらない高さと奥行きがあれば利用できるようにつくられており、ゴルフ好きにはたまらない設備です。
これが賃貸住宅に組み込まれているのですから、集客効果は少なくないかもしれません。

いわゆる【差別化戦略】の一つとしてゴルフシュミレーターがビルトインされたものです。
昔と違って物件の数が飽和状態の今日ならではの多様化に沿ったアイデア商品です。

このほかにも1階ガレージスペース、2階に居住スペースを配置した「賃貸ガレージハウス」や、24時間楽器演奏可能の防音賃貸マンション、マンション共用部にリモートワーク向け可動式ブースを設置して、居住者へ無料で開放している物件などの新製品が相次いでいます。
入居者ニーズを先取りしてサービスの徹底を図っています。





「夫婦の住まいと生活 じっくりレポート2021」
やはり、賃貸住宅の部屋探しにおいて、
重視した条件で最も多いのは「家賃」、次に「交通アクセス」



20代・30代夫婦の家探しのポイントを、(株)リクルートがこのほど発表した、「夫婦の住まいと生活じっくりレポート2021」から紹介したいと思います。
若夫婦の住まいに対する考え方が垣間見えるようです。

それによりますと、賃貸住宅の部屋探しで重視した条件は、「家賃」との回答が75%で最も多く、ほかにも「通勤・通学時間」「最寄駅からの徒歩分数」「路線・駅やエリア」といった、交通アクセスの利便性を重要視しる項目が全て50%以上を獲得し、上位を占めています。

「間取り」は3位で、シングル男女の調査では48.5%のところ、夫婦では56.3%。
「日当たり」も一人暮らしでは32%のところ、夫婦では43.9%で、夫婦で暮らすとなると、一人暮らしよりも家での快適性を重視する傾向にあるようです。

ゆったりとしたリビングのある間取りが好まれる傾向

夫婦が実際に選んだ間取りは「2LDK」が最多。
「2DK」より「1LDK」を選んだ方が多く、リビングの広さにこだわる夫婦が多いようです。

2010年の調査では、「2LDK」の次に「2DK」「1LDK」と続いていましたが、2017年の前回調査から逆転し「1LDK」「2DK」の順となりました。
「2DK」と「1LDK」は部屋数が違っていても面積は同じくらいのケースが多いが、部屋数の多さより、ゆったりとしたリビングのある間取りが好まれる傾向が出てきたことが窺えます。

また、現在使っていて便利に感じている仕様・住宅設備を聞いたところ、「バス・トイレ別」がトップで、「エアコン」が2位、「追い焚き機能」が3位、「独立洗面台」が5位にランクインしており、スムーズな生活動線を意識した水まわり住宅設備が上位を占めています。