2022年4月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

2022年4月号エスト賃貸経営新聞

情報収集にインターネットが定着する中、不動産店への直接来店も多い
賃貸住宅を借りる際に重視する点は、やはり「家賃」


賃貸住宅入居者や住宅購入者の意識をアンケートした結果が、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)と全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)からこのほど発表されました。
最新の賃貸ユーザーの動向が読み取れます。


「住宅の居住志向及び購買等に関する意識調査」は、全国の20歳以上の男女を対象に昨年9月の「不動産の日」にアンケートしたもので、回答数約2万3千件です。
調査結果の中から賃貸住宅に関連する項目を取り上げてみました。

アンケートによりますと、「持ち家派」約80%に対して、「賃貸派」の占める割合は約20%で、昨年度より5ポイントほど減少し、女性と60代以上のみ「賃貸派」が増加しています。

賃貸派の理由としては、「住宅ローンに縛られたくない」が最も多く、次いで「天災が起こった時に家を所有していることがリスクになると思うから」「税金が大変だから」がメインとなっています。
この3つの理由は過去4年間順位の変動はあるものの変わっていません。
さらに、「仕事等の都合で引越しする可能性がある」「家族構成の変化で引越しする可能性がある」といった理由を挙げています。

ところで、住宅を借りる際に重視する点は、やはり「家賃」が最も多く、昨年度よりも増加しており、経済的意識が高まったことが読み取れます。
次いで、「交通の利便性が良い」「周辺・生活環境が良い」と続き、間取りや日当たりなどの物件情報よりも、住環境が重視されているようです。
若い年代ほど商業施設など周辺・生活環境を重視し、60代以上は日当たりを重視していますが、こうした結果は、昨年度の調査結果と同様です。

このほかにも「間取り(プラン・部屋数)」「コンビニ・スーパーなど商業施設が近い」「日当たり・住宅の向き」「地理的な災害リスクが低いこと」「住宅の構造」「住まいの広さ」「住み慣れているエリア」などもチェックされています。

導入の最多の要望はインターネット(Wi-Fi)環境

一方、物件情報入手の経路については、やはり「インターネット」が最も多く、性別、年代、地域ともにトップで、完全に定着しているといえます。
「不動産店へ直接行く」が2番目で、次いで「新聞折り込みチラシ」「不動産情報誌」「スマホアプリ」と続きます。

「新型コロナウイルス」の影響により、住み替えを検討・実施したケースでは、「賃貸から賃貸」は2割強で、若い年代ほど高くなっています。
一般的には、それぞれ現状の形態を望んでいるようです。

また、住まいの設備で導入を検討、実施したものでは、「インターネット(Wi-Fi)環境」が最も多く、性別、年代、地域のすべてにおいて最多となっています。
「空気清浄機」「エアコンなどの空調」「換気設備」などへの関心も、昨年度同様に高い傾向にあります。


住宅の意識調査の主な結果
・「賃貸派」が約20%を占める。
・賃貸住宅を借りる3大ポイントは、「家賃」「交通の利便性」「周辺・生活環境」。
・物件情報の入手は「インターネット」が最も多く、店への「直接来店」は2番目。
・「インターネット(Wi-Fi)環境」導入の検討、実施が多数。





賃貸マーケット情報
地下動向・不動産価格指数・募集家賃動向


全国的に地価が上昇し、マンション・アパート(一棟)の価格も上昇基調を継続しています。
募集も地域によって前年同月を上回る傾向が見られます。


■先行きの不動産需要を予測する地価動向について、国土交通省公表の令和3年第4四半期「地価LOOKレポート」の結果によると、令和3年10月1日~令和4年1月1日の地価動向は、前期と比較すると、下落地区数及び横ばい地区数が減少し、上昇地区数が増加しました。
全国100地区のうち上昇地が40地区から55地区に増加し、横ばいが30地区から28地区に、下落が30地区から17地区に減少しました。
また、「住宅地では、マンションの販売状況が堅調で上昇している地区が増加している。商業地では、新型コロナウイルス感染症の影響により下落している地区があるものの、店舗等の収益性が回復傾向にある地区や、法人投資家等による取引の動きが見られる地区で、横ばいまたは上昇に転じた地区がある」としています。

■国土交通省が公表した令和3年第3四半期分のマンション・アパート(一棟)の「不動産価格指数」は、平成22年の平均を100として、前期比0.1%の減少ながら、ここ10年来の上昇基調を継続して143.6となっています。
過去12年間に43.6%上昇しているものです。

■不動産情報サービスのアットホーム(株)が発表した1月の全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向によると、マンションの平均募集家賃は、東京23区以外の首都圏エリア(東京都下・神奈川県・埼玉県・千葉県)が全面積帯前年同月を上回っています。
大型ファミリー向きマンションは全10エリア中、名古屋市を除く9エリアで前年同月を上回り、中でも札幌市はプラス11%と2桁の上昇率となっています。
なお、アパートは神奈川県・千葉県が全面積帯で同年同月を上回り、中でもシングル向き、カップル向きは、両エリアとも平成27年1月以降最高値を更新しています。





ニュースフラッシュ
2021年度「アパートローン貸出動向調査」結果
前年度と比べ取組姿勢は「特に変化なし」



賃貸住宅やアパートの建設・購入時に利用するアパートローンの貸出動向が、(独)住宅金融支援機構が公表した2021年度の「住宅ローン貸出動向調査」結果から読み取れます。
住宅ローンを取り扱う金融機関301機関に対してアンケートしたものです。

それによりますと、金融機関のアパートローンの新規の取組姿勢は、現状、今後とも「自然体(現状維持)」が最も多く、前年度との比較では、現状、今後とも「消極的(慎重、縮小)」が減少し、「自然体(現状維持)」は増加しています。

前年度と比べたアパートローンへの取組姿勢の変化は、「特に変化なし」が最も多く、次いで、「リスク管理の強化」「採算性の見直し」となっています。
また、取扱中のアパートローンの融資に当たって重視する点については、「物件の収支バランス」が最も多く、次いで、「顧客属性(返済能力等)」「立地(利便性)」「担保評価」「周辺環境」などが挙げられています。






調査レポートに見る最新の賃貸ニーズ
快適な住環境やセキュリティを重視


コロナ禍によってリモートワークが増え、部屋数や防音を今までになく気にする声が挙がっています。
最新公表された調査レポートから変化を見せる賃貸ニーズのポイントを取り上げてみました。


アットホーム(株)の「不動産のプロが選ぶ!『2021年下半期問合せが多かった条件・設備』ランキング」の調査結果によると、条件編の1位は「毎月の家賃を下げたい」で、2位が「通学先・通勤先の近くに引っ越したい」、3位は「ペット可物件に引っ越したい」となっています。
コロナ禍の影響で現在の家賃より低い物件への住み替えを希望したり、自宅で過ごす時間が増えたことからペット可物件のニーズが高まったようです。

一方、設備編の1位は「インターネット接続料無料」で、2位が「オートロック」、3位は「温水洗浄便座」です。
やはりコロナ禍の影響もあって、リモートワークやオンライン授業が続き、住環境の快適さやセキュリティの高さが重視された結果と見られています。

IT企業のイタンジ(株)が行った『引越しにおける住まいのこだわりに関する意識調査』によると、家賃以外で最も重要な住まいのこだわり条件の1位は「間取り」で、2位が「駅からの距離」、3位が「静かさ」となっています。

また、転居後に実はそれほど重要ではなかったと思う条件としては、「該当なし」以外で最も多かったのが、「築年数」と「建物の外観」が挙がっています。引越しで面倒だと感じたのは、「住民票や免許証、銀行などの住所変更」「引越しの荷造り」「ガス、電気、水道などの解約・契約手続き」となっています。

テレワーク就業者は全体的に減少傾向に

ところで、賃貸住宅ユーザーではなく、住宅の購入・建築を検討している人を対象に実施した(株)リクルートの『住宅購入・建築検討者調査』の結果によると、令和2年5月~12月のコロナ禍拡大当初と比べて、仕事専用スペースなどを求める割合は全体では減少したが、エリア別に見ると、首都圏では仕事専用スペース、通信環境を求める割合が他エリアより高くなっています。

首都圏の令和3年7月から12月における検討者のテレワーク実施者の割合は、6割程度で変化はないが、「90%以上」をテレワークで就業する人は最大時の28%から16ポイント減少しているようです。





賃貸経営ワンポイントアドバイス
部屋を借りる際の一番の不安は
「近隣住民との付き合い方」



入居者にとって心配事が尽きない新生活の不安

入居者の募集後、契約が済んで、入居が始まると新しい入居者の生活ぶりなどが気になるものですが、逆に入居者にとっても買い物や環境など新居での生活の不安や心配事が尽きません。

そこで、一般消費者が賃貸住宅を探す際の意識をまとめた全宅連と全宅保証のアンケート調査の結果(1面の「住宅の居住志向及び購買等に関する意識調査」参照)から具体例を見ていきます。
賃貸入居者の思いがよく表れています。

お客様を迎える私どもは、賃貸物件をご案内する際、面談や様々な書類を提出していただいて人となりを判断して、契約を結びますが、入居を希望されるお客様はお客様で、新居に対して不安を抱いておられるのがよく分かります。

「賃貸物件を借りる際、不安に感じること」の1番は「近隣住民との付き合い方」です。
2番目が「家賃を払い続けることができるか」、3番目が「退去の際、どのくらい費用がかかるか」となっています。
続いて、「連帯保証人をお願いできる人がいない」「高齢単身者でも入居可能か」「非正規雇用者でも入居可能か」などが挙がっています。

中でも、「近隣住民との付き合い方」に不安を感じるのは女性で、若い年代ほど割合が高い傾向にあります。
女性の方が不安を感じる傾向が強い一方で、男性が不安なことは「連帯保証人をお願いできる人がいない」となっています。
また、「退去の際、どのくらい費用がかかるのか」では、20代30代がとくに不安を感じているようです。
賃貸住宅を選ぶにもご近所との付き合い方、毎月の家賃の負担、退去の際の費用・・に関心が及んでいるのがよく分かります。
これらは関心ごとであると同時に、お客様が抱く不安感でもありますので、管理・仲介を担当する私どももこうした内容のていねいな説明で、理解を得ることを心がけて、ご案内をさせていただいております。