2018年3月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

2018年3月号エスト賃貸経営新聞

超高齢社会を迎えた「人生100年時代の賃貸経営」
管理を確立して、次代につなぐ賃貸経営の実現図る


高齢社会を言い換えれば長寿社会です。
人生において活動できる時間がどんどん延びて、100年も決して夢ではなく、現実のものとなってきました。
そこで、物件を長く維持して経営する「人生100年時代の賃貸経営」を考えてみます。

人生、つまり寿命は生活環境の改善や健康保険制度の充実によって延び続け、わが国は今や世界トップの長寿国となっています。
そして寿命はさらに延びて、超高齢社会のもとでのライフプランの実現を図る時代を迎えています。
60歳定年退職、リタイアといった発想は過去のものになろうとしているのです。

こうした流れを汲んで政府が打ち出したのが、一億総活躍社会実現の「人生100年時代構想」です。
人生100年時代を見据えた経済社会のあり方を政策パッケージするものです。

そこで「人生100年時代の賃貸経営」についてですが、これからの賃貸経営を考えるにおいても、100年時代をしっかり見据えることが重要課題となってきます。


よく、賃貸経営は長いスパンの事業である、と言い表されますが、従来の30~40年を区切りとするのではなく、これからは50~70年も視野に入れることが求められるということです。

30~40年は建設資金のローン返済や建物の償却期間から出てきた一つの目途なのですが、本当の利益はローン返済後の売上げが貢献するので、建物を補修・修理・リフォームして少しでも長く維持、管理すれば、十分な利潤が確保されるはずです。

つまり、「人生100年時代の賃貸経営」とは、長期にわたる経営スタンスの確立を図るということではないでしょうか。

建物の美観を長く維持して常に入居者の評価を得て一定の入居率を確保する、そのために適切な補修・修繕を怠らないことです。
また、わが国が世界の先端をいく超高齢社会にあるのですから、賃貸需要の高齢者ニーズの受け皿となる姿勢も求められるところです。

経営のあり方を大きく変える急速なIT化の広がり

負担をかけずに100年時代の賃貸経営を支える環境も驚くべきスピードで整いつつあります。
賃貸住宅への急速な浸透が進むIT化が賃貸住宅の構造はもとより、経営のあり方をも大きく変えようとしています。

例えば、スマートフォン一つで、物件の紹介から下見の案内にVR(バーチャルリアリティー)を使い、気に入って契約に至ればIT重説まで。
そして鍵の受け渡し、取り換えもスマートロックで行うといったIT・オンライン化が現実のものとなっています。

そして、手前ミソとなりますが、賃貸経営の長期安定化のためには管理の充実は避けられません。
管理体制が確立してこそ、次代につながる賃貸経営の実現が図られると考えます。




次代を先取りする賃貸住宅
個性化に特化したユニークな賃貸住宅が登場
ネットを通じたIotサービスが急速に浸透



次代を先取りする最新のアパート・マンションが各地で建設されています。
ユニークな3つの賃貸住宅を紹介します。

★「大人の女性と猫が快適に住める」をコンセプトに、最大5匹の猫と暮らすための工夫が施された猫専用アパートメントが東京・墨田区にオープンします。全室44平方メートル、3.5平方メートルのバルコニー付きの1LDKで、家賃は12万7千~13万5千円で、管理費7千円。入居条件は、定員が人2名と猫5匹まで、それ以外の場合は応相談。完全室内飼いにすること。猫用爪とぎを部屋内に設置すること。猫以外の動物を飼わないこと。壁に爪とぎやスプレーをする癖がある場合は、入居者が防護策を講じること。避妊去勢手術を施すこと。専用ポーチ・バルコニーを含む禁煙などとなっています。猫好きに徹した猫共生型賃貸住宅です。

★日本初といわれる「サービスが入ってくる家」の賃貸マンションが東京・大田区にオープンしました。「サービスが入ってくる家」とは、スマートロックやエントランス解錠システムなどのIot製品を活用して、入居者が自宅不在時でも、荷物の宅配や家事代行などの各種宅配サービスが家の中に入ってくることを可能にするサービスです。宅配や家事代行は専門の業者と提携して行うのですが、賃貸マンションもここまできたのかと思わせる先進のシステムです。果たして今の日本で根付くのでしょうか。

★Iot技術を活用したエアコンや照明などの家電製品の遠隔操作機能、外出時に不審者が侵入した際のアラート機能が備わった最新のスマートハウスサービスの賃貸マンションが仙台・青葉区にオープンします。
スマートハウスサービスを利用することで、マンションの入居者はスマートフォンでエアコンなどの遠隔操作が可能。外出先からエアコンを起動させておき、快適な状態で帰宅することができるとし、また、長期不在でも照明器具を遠隔操作することで人の所在を表せるため、セキュリティ効果を高める、としています。

インターネットを通じたIotサービスが賃貸住宅にも急速に浸透しているのが実感されます。




ニュースフラッシュ
公営住宅に入居する約85万世帯のうち、1割強の約10万世帯で家賃滞納(総務省)


総務省が実施した全国の公営住宅への入居者に対する調査結果によりますと、全国の公営住宅に入居する約85万世帯のうち1割強の約10万世帯で滞納があり、1ヵ月以上の家賃滞納は平成27年度末現在、退去者を含め約21万世帯ということが分かりました。

これは、低額所得者、高齢者、障害者等の住宅確保要配慮者が安心して暮らせる環境の充実を図る観点から、公営住宅への入居者等に対する対応状況、住宅確保要配慮者への支援の実施状況等を調査した結果を取りまとめたものです。

家賃滞納者のうち、滞納機関が1ヵ月以上3ヵ月未満が8万6979万世帯(42.0%)、3ヵ月以上6ヵ月未満が3万2820万世帯(15.8%)、6ヵ月以上12ヵ月未満が2万8594世帯(13.8%)、12ヵ月以上が5万8839世帯(28.4%)。
なかには、151ヵ月滞納のあった入居者が死亡し、死亡届が提出された後も10年以上その事実に気付かずに督促状の送付が行われていた例もあります。




「住宅の居住志向及び購買等に関する意識調査」結果(全宅連・全宅保証)
賃貸住宅を選ぶ賃貸派が一定層を占める


住宅購入者や賃貸住宅入居者の意識を9月の「不動産の日」にアンケート調査した結果が、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)と全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)から発表されました。

それによりますと、賃貸住宅を選ぶ消消費者の意識は、ここ5年間ほとんど変化はなく、やはり選ぶポイントは、「賃料」が80%で最も多く、次いで「交通の利便性が良い」「周辺・生活環境が良い」と続きます。
賃料に次いで生活環境を重視する傾向が見受けられます。

この3つの選択ポイントは、次代は変わっても大きな変化はないようです。
賃料は、全体の8割と重視する意識が高く、若年層ほどその傾向が強く出ています。
交通の利便性については、高年齢層ほど重視する傾向。

ところで「賃貸」に住んでいる方の住居満足点の平均得点は65.2点で、現在の住居に対して、賃貸共に一定の満足を得ているようです。
現在の居住形態に拘らず、持家派か賃貸派については、持家派が約85%と8割強を占め、賃貸は約15%となっています。

賃貸派の理由の第一は「住宅ローンに縛られたくないから」で、次いで、仕事の都合で引越しする可能性があるから、家族構成の変化で引越しする可能性があるから、となっています。

若年層ほどネット利用は高い

物件情報入手経路では、「インターネット・携帯サイト」が約87%と最も多く、若年層ほどよく利用しています。
次いで、「不動産情報誌」「新聞折込チラシ」を挙げています。

インターネットでの不動産物件情報検索サイト利用状況について、「賃貸物件を探す時に利用したことがある」が約60%、次いで「利用したことがない」が約31%。
若年層のネットサイト利用度は高く、高年齢層は新聞折込チラシをよく利用している傾向が見られ、年代による差が大きいようです。

物件情報の入手の際、基本情報以外に「あると便利」な情報では、「物件の写真」が約84%で最も多く挙げられ、次いで「街の環境情報」「周辺物件の相場や取引事例」など。

こうして見ていきますと、持家志向が強い中、仕事の都合でが予測されることや住宅ローン、税金の負担が嫌だから賃貸住宅を選ぶ賃貸派が一定層を占めていることからも、賃貸ニーズを汲み取っていくことの重要性がよく分かります。




賃貸経営ワンポイントアドバイス
相談が絶えない「敷金精算」と返還
国交省の「ガイドライン」浸透広がる



返却に時間がかかるのが原因に

時代の変化や入居者ニーズの変貌を受けて、賃貸市場にも様々な変化が起きています。
フリーレントの広がりや敷金・保証金、礼金などの入居一時金の取り扱いもその一つです。
こうした市場の情勢にあって、解約時の退去に依然、相談が絶えないのが敷金精算と原状回復に関する事案です。

敷金は賃貸借契約を結ぶ際、借主(入居者)にアクシデントが生じて家賃が支払えない時や故意、過失による借主の損害賠償を担保するために借主から貸主に預けられるお金です。
何事もなければ契約終了時には、借主が退去する時点で返還するのが原則です。

敷金の返還でクレームが発生するのは、退去時に「生産」として差し引かれる原状回復に伴う経費の金額が大きいことと、返却に時間がかかっている二点が主な原因となっています。

借主が退去する際に、住居を補修、修繕する原状回復の経費を借主、貸主どちらが負担するかで意見が分かれ、借主が納得しないまま借主側に金銭的負担が生じることから借主からクレームが出て、時には訴訟に発展するものです。
一般的に、原状回復について判断が分かれるケースが多いのは、「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反」「経年劣化」「通常損耗」の取り扱いです。

しかし、退去にともなう原状回復については、指針となる国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が広まって、ルールとして使われています。
また、東京都では賃貸住宅のトラブルを防止するために、「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を設けて啓豪するとともに、広く浸透を図っています。
とくに国交省のガイドラインの内容が広く知られるようになってから、かつてほどのクレームは少なくなっています。
やはり、基本的には国交省のガイドラインを参考にすることがベースと思われます。




過去の記事はこちらから
エスト賃貸経営新聞一覧