2019年1月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

2019年1月号エスト賃貸経営新聞

平成最後の年の「賃貸住宅市場」を取り巻く最新事情
安定した成長が続く中、市況の一部軟調がみられます


新年明けましておめでとうございます。
今年は平成最後の年で、また新しい元号のスタートの年でもあります。
来年夏に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、6年後には大阪万博が開催されます。
新しい年の賃貸市場を取り巻く話題をまとめてみました。

まず景気動向については、内閣府と財務省が約1万6千社を対象に、四半期に1度実施している、法人企業景気予測調査(平成30年10~12月期)によると、国内の景況の先行きについて、全産業でみると、大企業、中堅企業は「上昇」超で推移する見通し、中小企業は「下降」超で推移する見通しとしています。

また、12月に内閣府から公表された景気ウォッチャーの見方は、「緩やかに回復している。先行きについては、コストの上昇、通商問題の動向等に対する懸念もある一方、年末年始のイベント等への期待がみられる」とまとめられています。

2020年のオリンピック終了後の景気の腰折れを防ぐ役割としても、2025年開催の大阪万博に期待が集まりますが、大阪周辺の経済活性化にとどまらず、広く不動産市場に及ぼす影響が注目されるところです。

昨年、本格的に始まった民泊事業がまだ様子見のところもあるのですが、インバウンド需要が急増しており、そこに万博の需要が加われば民泊全体の需要拡大に繋がるのではないでしょうか。
とくに会場となる大阪湾の夢洲にカジノを含む総合型リゾート(IR)誘致の構想が描かれており、東京オリンピックとはまた違った投資ニーズに期待が集まります。

さて、賃貸市場ですが、大きな流れとしては安定した成長を続けているものの少子高齢化の影響、物件の飽和等による市況の一部軟調がみられます。
賃料に増減など大きな変化がなく、一定のラインを推移していますが、やはり立地や間取り、築年数などの条件によってプラ・マイの減少が生じています。
来客者層ですが、社会状況を反映して高齢者と外国人の増加が目立っています。
ただこうした動きも賃貸市場における全体的な傾向で、地域、立地によってガラリと違った内容をみせています。


今年も課題事項の外国人・高齢者対応

前号で、今日の賃貸市場を取り巻く主な出来事として、「IT、AI、IoTを活用した最新の賃貸住宅が相次いで建設」され、「人生100年時代の賃貸経営も視野に入る」「賃貸住宅の需要を支える世帯数の減少が近づく」「住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅が求められる」「外国人ニーズに本腰を据えて取り組む時期を迎えている」「民泊の本格的な運用が始まる」「賃貸住宅新設需要の一巡と一服感広がる」などを挙げました。
これらは新年を迎えても当然継続されるもので、中でも民泊事業、新住宅セーフティネット、外国人・高齢者対応の広がりが今年も課題事項と予測されます。




入居希望者が賃貸住宅を選ぶ際に重要視した設備
バランスよく提供することがカギ


時代の変遷とともに入居者ニーズも大きく変化しています。
そこでここ1年に発表された、各種調査の賃貸住宅入居者の設備関連に対する意識を取り上げてみます。

世の中が豊かになっているのですから、生活のベースとなる住宅にも、より良いものを求める傾向が年々強くなっています。
賃貸住宅を選ぶ際に重要視した設備は、「間取り・部屋数が適当」「住宅の広さが十分」「台所の設備・広さが十分」「浴室の設備・広さが十分」「住宅のデザインが気に入った」…「住宅市場動向調査報告書・平成29年度版」(国土交通省)。
設備関連では間取り・部屋数・広さ・台所設備・浴室設備・住宅デザインに代表されているようです。

家賃以外で重視したことは、学生は「通勤・通学時間」、社会人は「間取り・広さ」がそれぞれトップで、設備では学生・社会人ともに「独立したバス・トイレ」を重視。
妥協したことのトップでは、学生・社会人ともに「築年数」。
設備では学生は「追い焚き機能付きバス」、社会人は「収納の広さ」を妥協しているようです…「30歳未満の学生・社会人の部屋探し徹底調査委」(アットホーム)。


「駅からの距離」より「間取り」「設備」「内装」を優先

重視する「部屋の設備」については、「バスとトイレットが別」「エアコン付」「収納スペース」がトップ3。
現在一人暮らし層は「バスとトイレットが別」をより重視。
一人暮らしをする時に欠かせないものとして、「スマートホン・テレビ・パソコン」が三種の神器といいます…「一人暮らしに関する意識調査」(全宅連・全宅保証)。

次に引っ越す際に欲しい設備は、「エアコン」「独立洗面台」「TVモニター付きインターフォン」が上位。
「24時間出せるゴミ置き場」「浴室乾燥機」が昨年より8ポイント以上増。
家賃が上がっても欲しい設備の1位は「追い焚き機能付きの風呂」。
家賃が上がってもよいと考える人で、かつ家賃上昇許容額が高い設備1位は「エアコン」…「2017年度賃貸契約者動向調査・首都圏」(リクルート住まいカンパニー)。

いかがでしょう。
こうした調査結果から、今日の入居者が求めている設備内容がよく分かります。
総てを一度に満たすことは無理としても、部分的にバランスよく提供することがこれからの賃貸経営のカギとなりそうです。




賃貸経営ワンポイントアドバイス
IT、、AI、IoTの新製品相次いで開発
賃貸経営の各分野で急速に実用化が進む


今年はさらに拍車がかかる

賃貸住宅に関連するIT(情報技術)化がここ1年の間に大変な進歩を見せました。
IT関連の新製品が相次いで開発され、実用化が進み、従来の賃貸住宅のイメージを大きく変えようとしています。
今年はさらに拍車がかかるようです。
そこで賃貸住宅とITの取組みを整理してみたいと思います。
今年も積極的に導入が進むのはIoT(物のインターネット)を取り入れた製品です。
スマートフォンを活用してインターネットを経由し、専用のアプリを使って自宅にある設備を操作するというものです。

例えば、照明やエアコンのスイッチをオン・オフしたり、ペットの世話や宅配ボックスをチェックしたりといった具合です。
音声によって家電の操作や多様な情報を提供するスマートスピーカーがセットされた機器も登場しています。
とにかくスマホを使って外出先から自宅内の設備関連を捜査するのは便利この上なく、あれよあれよといっている間に様々な分野で実用化されています。IoTを支えているのがAI(人工知能)です。
AIは住宅に拘らず世のありとあらゆる分野の改革に応用されています。
AIの最大の特徴は学習する能力を持っていることで、集積されたビッグデータを活用して、より良いものを作ることにあります。
ですからIoTをAIにつなぐことでさらなる改良を遂げ、新製品開発につながります。
この先、賃貸経営においてもAIが適正賃料や入居条件を分析するなど、賃貸管理のプロパティ業務を制御する時期が来るのではないでしょうか。

また、テレビ会議等のITを活用した重要事項説明「IT重説」の本格運用がスタートして1年少し経ちます。
仲介現場では運用から2度目のシーズンを迎え、ぼちぼち慣れてきて遠隔地の顧客との商談に使われ、効果が出始めています。
メリットも明確なことから今後、さらに広まるとみられます。




ちょっと一服
今年も1年、オーナー様の手足となって仲介・管理業務に全力で取り組む所存です


オーナー様をはじめ、お取引先の皆様、明けましておめでとうございます。
旧年中はひとかたならぬご愛顧にあずかり、誠にありがとうございました。
なにとぞ本年も一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

ところで、賃貸ビジネスにおいてもインターネットが果たす役割は年々大きくなる一方ですが、便利さの半面、不安感がどうしても拭えません。

内閣府がこのほど公表した「インターネットの安全・安心に関する世論調査」結果によると、インターネットの利用に関連するトラブルについて、「不安がある」が約67%、「不安はない」が約22%、「分からない」が約11%となっています。
また、年齢別に見ると、「不安がある」とする者の割合は40歳代、50歳代で「不安はない」とする者の割合は18~29歳、30歳代で、それぞれ高くなっています。

最先端技術を駆使しているだけに、使いこなす技量や見えない部分の不安感はどうしてもついて回るようです。

今年も一年、オーナー様の手足となって仲介・管理業務に全力で取り組む所存です。




ブロック塀の安全点検
一定規模以上のブロック塀は耐震診断の義務付け対象に


使い勝手がよく、工事が比較的安易なことからアパート・マンションの塀にコンクリートブロックがよくつかわれています。
このブロック塀の取り扱いが厳しくなるようです。

コンクリートブロックは塀の他にも建物の外壁、物置等の基礎部材、エクステリアなど様々な分野で使われ、色や模様が施された化粧ブロックなど種類も豊富です。

ブロック塀の施工に当たっては建築基準法のほか、国の定めるチェックポイントがあります。
工事がし易いといった利便性から各方面で使用されていたのですが、平成30年6月の大阪北部地震で小学校のブロック塀が倒壊し、児童が下敷きになる事故が起きたことから、安全点検が厳しく見直され、同年11月に「建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。


5項のチェックポイント

国土交通省が呼びかけているブロック塀点検のチェックポイントは、「塀は高すぎないか」「塀の厚さは十分か」「控え壁はあるか」「基礎があるか」「塀は健全か」の5項で、一つでも該当すれば専門家に相談しましょう、と呼びかけています。
安全点検の結果、危険性が確認された場合には、付近の通行者への速やかな注意表示、補修・撤去等が必要になる、と注意を促しています。

11月27日に閣議決定された政令は、11月30日に公布され、31年1月1日に施行されたことから、都道府県または市町村が耐震改修促進計画に記載する避難経路の沿道にある一定規模以上の既存耐震不適格のブロック塀等は、耐震診断が義務付けられます。

耐震診断、詳細な取り決めがまとめられるのは、もう少し先になりそうですが、長さ20m、高さ1.5~2メートルほどのブロック塀の場合、上記5つのポイントを参考に点検してみてはいかがでしょう。




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