2019年4月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

2019年4月号エスト賃貸経営新聞

今月から施行される入管法改正が賃貸業界に与える影響
5年で最大約34万5千人の外国人労働者を受け入れ


春の繁忙期は終わりに近づいていますが、新しい動きも出てきています。
いよいよ今月から入管法の改正が施行され、外国人労働者がさらに増加する見込みです。
このことが賃貸業界・オーナー様にとってどのような影響をもたらすのかをまとめてみました。

昨年12月8日に出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)の改正が可決され、この4月から施行されます。
少子高齢化による深刻な働き手不足を解消するために、今後5年間で最大で約34万5千人の外国人労働者を受け入れることになります。

これまで最大5年間としていた技能実習生に加え、新たな在留資格である「特定技能1号・2号」を創設します。
1号は即戦力として必要な知識・経験を有する人、2号は1号として従事した後、試験に合格した人。

受け入れる業種については、別表のように介護、建築、外食、宿泊、農業など14業種が対象となります。
当然、彼らが住むところが必要ですので、外国人労働者の受入れにより、これまで人口減少によって入居率の低下に悩まされてきた賃貸業界・オーナー様にとっては、空室が解消し入居率アップにつながるので朗報ではないでしょうか。

ただ、今回の入管法改正により、多くの外国人労働者が在住するとは言っても、全国に400満室以上あると言われる賃貸物件の空室数から見ると10%にも満たない数字です。

それから、介護施設、外食店舗、建設現場など対象となる業種の受け入れ企業が多い地域では、外国人労働者の増加が期待できますが、そうでないエリアはあまり期待できません。
また、生活習慣が異なる外国人が入居することにより、さまざまなトラブルが発生することも予想されます。
ごみ捨てマナーや臭い・騒音などが原因で、他の入居者や近隣からの苦情が出ることがあります。

日本人と外国人が混在するアパートでは、日本人と外国人との間でトラブルになるケースもあり、退去者が出てしまう可能性もあります。
一方で、マナーの良くてきちんとした外国人もいることは確かです。
今後増加する外国人入居者に対して、日本の生活習慣や生活情報をきちんと伝えることと、入居後のフォローが重要な課題となります。


外国人労働者の増加に伴い、求められる入居者の受入れ

外国人入居者に対してネガティブなイメージを持っているオーナー様もおられるとは思いますが、過去に外国人とのトラブルがあったとしても、同じ国籍でも様々な人がいます。
また、今回の入管法改正による賃貸契約は多くの場合、受け入れ企業との法人契約になると思われますので、家賃滞納の不安の解消や、緊急時の連絡先の明確化ができます。
オーナー様はある程度安心して賃貸契約を結ぶことができるのではないでしょうか。

今後、国内の外国人入居者はますます増えることが予測されており、外国人の入居を避けて賃貸経営を行うことは難しくなるでしょう。
結論としましては、今回の入管法改正は基本的にはオーナー様にとってビジネスチャンスの到来と言えます。

高齢者と同様に外国人入居者をうまく取り込むことが、これからの賃貸経営のひとつのポイントになるでしょう。




賃貸市場最新ニュース
景気の3ヵ月連続悪化で不透明感が強まる
今年1月の首都圏の成約数は昨年より減少



帝国データバンクはこのほど、2月調査の「TDB景気動向調査(全国)」結果を発表しました。
それによると2月の景気DIは前月比0.9ポイント減の47.2となり、3ヵ月連続で悪化しました。
国内景気は、中国向け輸出の減速や自動車関連の低迷に加え、人手不足やコスト負担増も悪影響を及ぼし、後退局面入りの兆しがみられます。
今後の国内景気は、設備投資や個人消費が下支えする一方、消費税率引上げ後の消費落ち込みや海外リスクの高まりが懸念され、不透明感が一層強まっています。

不動産情報サービスのアットホームが発表した1都3県の首都圏における1月期の居住用賃貸物件・市場動向によると、1月の首都圏の居住用賃貸物件成約数は2万227件で、前年同月比2.1%減少し、2ヵ月連続のマイナスとなりました。

不動産経済研究所はこのほど、2018年1年間の「全国マンション市場動向」を発表しました。
それによりますと2018年1~12月のマンション販売戸数は8万256戸で、前年の7万7,366戸にくらべて2,893戸、3.7%の増加。
対前年比で増加となるのは2年連続で、8万戸台となるのは2014年以来です。
マンション平均分譲価格は全国平均で4,759万円。
2017年の平均価格に比べて0.4%のアップで、平方メートル単価は全国平均で71.3万円となり、2017年に比べて2.4%のアップでした。
2019年における販売見込みは全国で約8.0万戸と2018年に比べると約0.02万戸、0.3%減の見込みです。



ニュースフラッシュ
全国主要都市の地価は全体として緩やかな上昇基調が継続しています


国土交通省は、主要都市の高度利用地等における地価動向を調査した、3ヵ月に一度の「地価LOOKレポート」の最新版(平成30年10月1日~31年1月1日)を公表しました。
調査対象は東京圏43地区、大阪圏25地区、名古屋圏9地区、地方圏23地区の全国100地区。
それによりますと、主要都市の地価は全体として緩やかな上昇基調が継続し、上昇地区数は前期96地区から今期97地区と、上昇地区数の割合が4期連続して9割を上回っています。
0~3%の緩やかな上昇の地区が70地区で、京都市・大阪市をはじめとする13地区で3~6%の比較的高い上昇となっています。
上昇の主な要因は、景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、空室率の低下、賃料の上昇等好調なオフィス市況や再開発事業の進展による魅力的な空間・賑わいの創出。
さらに、訪日観光客の増加による店舗・ホテル需要、利便性の高い地域等での堅調なマンション需要などによって、オフィス・店舗・ホテル・マンション等に対する不動産投資が引き続き堅調なことが挙げられます。



個性化とともに、高品質化する賃貸住宅

従来にないクラスの賃貸住宅誕生


賃貸住宅の個性化が進んでいます。
従来、個性化といえばデザイナーズマンションやペット共生賃貸住宅に代表されていましたが、今日では、入居者のニーズをさらに細分化した多様な賃貸住宅が急速な広がりを見せています。
ターゲットを絞り込んだ賃貸住宅が『ニューカマー』として定着しつつあります。

賃貸住宅の個性化の背景にはいくつもの理由がありますが、やはり物件間の競争が激しくなっていることが一番です。
他にない機能を備えることで、賃貸積極派層の囲い込みを図ろうとする動きです。

またそうした理由以上に、世の中が豊かになった分、何も特別なことではなく当たり前に質の高い住空間を求める傾向が、賃貸住宅においても一段と強くなっていることが見逃せません。

その流れから生まれたのが、楽器演奏ができる防音設備付きや大型駐車場付き、家庭菜園付きといった賃貸住宅。

高付加価値的要素を追求する一方で、人のつながりやコミュニケーションを積極的に求める層に広がったのが、シェアハウス、コレクティブハウス、ゲストハウス。

リスクを抱えつつ特色打ち出す

そして個性化とはやや趣が違いますが、入居者向けの「宅配クリーニング」サービス、分譲マンション並みの質感あるキッチン、「外構防犯パッケージ」標準採用による防犯性能の強化、都市部に映える高い意匠性の外観、遮音性能向上を実現した界壁構造、外部からの視線を遮りプライベートを保つ専用の庭の設置など、従来にないクラスの賃貸住宅が開発され、独自のプランとして実用化されています。

さらに、用途変更、大幅改装のコンバージョンや既存住宅をリメイクしたリノベーションがかつてのリフォームを超えてプランニングされています。

個性化はつまりは汎用性にない特性を大きく展開させる訳ですから、ひとつ間違うとアイデアもデザインも空振りになる恐れがあるのですが、リスクを抱えながらも特色を打ち出して、現在とこれからの入居者ニーズに応えようとするものです。



賃貸経営ワンポイントアドバイス
「仲介営業力」が契約の決定打
オーナー様との連携強化を推進



信頼と連携による一体化

賃貸住宅の空室を埋める第一歩は、まずなんといっても、物件を取り扱う仲介店を選ぶことから始まっています。

物件間の競争が激しくなっている今日、入居募集する物件のPRにたけ、反響を呼んで、案内時に気をそらさない十分納得する説明ができる「仲介営業力」が契約の決定打となります。

空室を埋めるには仲介を担当する不動産会社との強い一体感が必要となってくるのです。
オーバーではなく運命共同体です。

オーナー様はともすれば、物件がどのように取り扱われているか非常に気にされていますが、我々は常に全力です。
物件一つ決めるにも本当に真剣で、入居される方の立場に立ち、オーナー様の気持ちを十分に斟酌して仲介業務に当たります。

入居募集に際して家賃を設定したり、どの程度リフォームを実施したりするのか、特に目立った補修・修理をしないで家賃を調整するのか、こうしたことを十分に考慮して、入居の促進を図ります。
そのためにはオーナー様のご理解と綿密な打ち合わせが必要となります。

つまり、入居の促進を図り、稼働率を高めるためには、仲介担当の不動産会社との連携による一体化で、タイムリーな「入居条件」を打ち出すことが重要なポイントとなってきます。

今日、賃貸経営はサービス産業であると同時に、情報ビジネスと化しています。
所有する物件情報を必要とするユーザー、入居希望者に、いかにタイムリーかつミスマッチのないベストな状態で提供するかにかかっていると思います。

ご存知の通り、物件情報を告知・PRするツールは、かつての新聞、冊子、情報誌の印刷媒体にとどまらず、PCやスマホを介してのインターネット、そしてフェイスブックやツイッターといったSNSへと広がっています。

インターネット・ITツールの有効活用が、空室を埋める有力手段となっているのですから、仲介~管理に至るまで、ネット・IT環境の充実をどこまで達成できるかも課題事項です。

賃貸経営最大の眼目、稼働率を高めるための空室を埋める方法をつきつめれば、市場の動きに合わせ、タイムリーに募集をかけ、仲介営業力で対応すること、という結論になります。




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