2019年11月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

2019年11月号エスト賃貸経営新聞

5年に一度の「平成30年住宅・土地統計調査」(総務省)集計の概要
「民営借家」1530万戸、住宅総数の28.5%


5年に一度実施される総務省の「住宅・土地統計調査」は、わが国の住宅政策の根幹に関わるデータとされ、住宅と世帯の実態が浮き彫りになっています。
平成30年10月に実施された調査の基本集計の概要から、主な部分を紹介します。

それによりますと、平成30年10月1日現在のわが国の総住宅数は6240万7千戸で、総世帯数は5400万1千世帯となっています。
平成25年と比べて総住宅数は177万9千戸増、総世帯数は154万9千世帯増と、5年でそれぞれ2.9%、3%の増加率を見せています。

総住宅数と総世帯数の推移を見ると、昭和38年までは総世帯数が総住宅数を上回っていましたが、43年に逆転し、その後は総住宅数が総世帯数を上回っています。

1世帯当たりの住宅数も上昇傾向にあるものの、近年はその傾向が緩やかになってきており、平成30年は1.16戸と25年と同水準になっています。
やはり数の上では住宅の充足感は満たされているようです。

また、居住世帯の住宅を所有の関係別に見ると、持家が3280万2千戸、借家は1906万5千戸で、住宅総数に占める割合は35.6%となっており、25年と比べて0.1ポイント上昇しています。

借家の内訳を見ると、「民営借家」が1529万5千戸で、住宅総数に占める割合は28.5%と最も多く、次いで「公営の借家」が3.6%の192万2千戸、「給与住宅」が2.1%の110万戸、「都市再生機構(UR)・公社の借家」が1.4%の74万7千戸となっています。
賃貸住宅が借家全体の3割近くを占めているのが分かります。

気になる空き家の推移については、5年前より少し増えて848万9千戸で、総住宅数に占める空き家の割合の空き家率は13.6%。
平成25年から0.1ポイント上昇し、過去最高です。

「賃貸用の住宅」の空家数
5年で3万5千戸増加


空き家の内訳は、「賃貸用の住宅」が432万7千戸で、総住宅数に占める割合は6.9%。
次いで、「売却用の住宅」が0.5%の29万3千戸、別荘などの「二次的住宅」が同0.6%の38万1千戸、「その他住宅」が5.6%の348万7千戸。

空き家の増減については25年と比べると、「賃貸用の住宅」が3万5千戸増、「売却用の住宅」が1万5千戸減、「二次的住宅」が3万1千戸減、「その他住宅」が30万4千戸増となっています。

なお、住まいと高齢者の関わりですが、65歳以上の高齢者が増加する一方ですから、当然、借家への入居率も高まっているのが統計に表れています。
借家の高齢者入居、及び高齢単身世帯の割合が上昇している調査結果から、賃貸経営への現実的な課題が感じ取れます。
詳細は下記の『ニュースフラッシュ』を参照してください。




「借家の家賃・間代」(総務省)
家賃は安定した市場を反映して
過去20年、ほぼ横ばいながら微増



「平成30年住宅・土地統計調査」(総務省)の集計から、「借家の家賃・間代」の動向について取り上げてみます。

この集計によりますと、平成30年10月時点の借家総数の1ヵ月当たりの家賃・間代は5万5675円で、5年前の25年と比べて1635円、率で3%増加しています。

過去20年の経緯を見ると、平成10年に比べて金額で6181円、率にして11%増とデフレ経済が影響してほぼ横ばいながら、微増となっているのがよく分かります。
賃貸住宅の家賃相場が決して大崩れしていないのが実証されているようです。

家賃を住宅の種類別に見ると、居住の目的だけの「専用住宅」が25年と比べ3%増の5万5695円、「店舗その他の併用住宅」が1.3%減の5万1247円となっています。

乱高下することなく安定した賃貸市場

専用住宅の1ヵ月当たりの家賃・間代は「表」の通りですが、民営借家の木造・非木造ともここ5年間、微増で推移しています。
それでも借家総数で25年が20年に比べ0.8%増だったのに対して、30年では3%の増加となっています。
家賃は落ち着いている分、物足りなさを感じるのですが、前述の通り、乱高下することなく安定した賃貸市場が構成されています。

また、専用住宅における1畳当たりの家賃・間代は3074円で、25年と比べ0.8%増。
住宅の所有の関係別では、「民営借家(非木造)」が3832円と最も高く、次いで「都市再生機構(UR)・公社の借家」が3526円、「民営借家(木造)」が2580円となっています。
民営借家の木造、非木造とも25年と比べて2%、1.3%減少しています。




ニュースフラッシュ
「高齢単身世帯」が住む借家は213万7千世帯
今後も賃貸住宅入居者に高齢者が増える傾向



社会の高齢化の進行とともに、新たに賃貸住宅を探す高齢者が増えているのですが、こうした傾向がこのほど公表された「平成30年住宅・土地統計調査」の基本集計から読み取れます。

それによると、わが国の総住宅数は6240万7千戸で、総世帯数は5400万1千世帯ですが、そのうち、65歳以上の高齢者が住む世帯は2253万4千世帯となっています。
総世帯数の4割ほどに高齢者が住むのですが、借家は400万9千世帯を占めています。

また、高齢者のいる世帯のうち、「高齢単身世帯」は638万世帯で、借家は213万7千世帯と、高齢単身世帯に占める割合は33.5%と高い比率になっており、平成25年と比べて14%増の26万3千世帯増となっています。

これからも高齢者が増える人口の構成となっているのですから、賃貸住宅の入居者に高齢者が増える傾向は間違いないところです。
高齢者の入居を積極的に進めて入居率を高める時代を迎えているといえます。




上昇基調を強める土地価格の市場背景
堅調な土地需要と好調な不動産投資


土地価格の上昇が続いています。
背景にあるのは、低金利環境、住宅需要、オフィス市場の活況、外国人観光客増加による店舗・ホテル需要の高まり等の不動産需要の拡大が挙げられています。

すでに賃貸経営をしていますと、土地価格が上がった、下がったといっても経営自体に直接関係はなく、含み資産が増えた、あるいは減った、もしくは税の負担が気になる、というところでしょうか。

ただ、不動産事業のもとになるのは土地で、取引きのベースが地価です。
二つとして同じものがない土地に、四つも五つも価格がついています。
一物四価とも五価とも呼ばれているのですが、次に最近の土地価格の動向を見てみます。

不動産取引の「実勢価格」(時価)に強く影響するのが、国土交通省が決定する「公示価格」と、国税庁が決める「路線価」。
まず公示価格ですが、都市計画区域内の標準的な土地を鑑定評価したもので、3月下旬に公表されます。
平成31年の地価公示の全国平均は、全用途平均・商業地は4年連続、住宅地は2年連続の上昇となり、いずれも上昇基調を強めています。

住宅地は下落幅の縮小傾向
商業地は3年連続で上昇


路線価は、相続税や贈与税算定の基準となるもので、市街地の路線に面する土地の1平方メートル当たりの単価。
公示価格の80%程度となっています。
令和元年分の路線価は、上昇基調を見せ、全国約32万地点の標準宅地は前年比で1.3%のプラスと、前年比4年連続で上昇しました。
一般的で路線価と公示価格は、市場で取引される実勢価格の目安になります。

基準価格は、7月1日時点の用途地域ごとの基準地の価格。
固定資産税評価額は土地、建物にかかる税金を算定する基の価格で、3年に1度評価替えが行われます。
令和元年の都道府県地価の全国平均では全用途平均が2年連続で上昇して、上昇基調を強め、用途別では住宅地は下落幅の縮小傾向が継続。
商業地は3年連続で上昇しています。

このように、全国的に地価が上昇している主な要因は、賃料の上昇等の好調なオフィス市況や再開発事業の進展。
外国人観光客の増加に対応した旺盛な店舗、ホテル需要。
そして、利便性の高い地域における堅調なマンション需要など、オフィス、店舗、ホテル、マンション等に対する投資が引き続き好調なことが挙げられます。




賃貸経営ワンポイントアドバイス
万一のリスクヘッジに「保険」は必要不可欠
賃貸経営をバックアップする多様性広がる



オーナー様加入分と入居者負担分

自然災害を始め、突発事故や賃貸経営を脅かす家賃滞納等に備えるため、「保険」は必要不可欠となっています。
災害に巻き込まれるのは、そうあることではないのですが、万一のためリスクヘッジに保険は有効と考えられます。
改めて保険の種類などをまとめてみました。

賃貸住宅の保険には、オーナー様が加入する保険と入居者に負担していただく分があります。火災を原因とする損害を補償する保険が「火災保険」。
現在は火災のほか自然災害や水漏れ、盗難などの事故を補償して、保険金が支払われる総合補償型の「総合保険」が一般的になっています。

オーナー様負担の建物の火災保険の他、入居者の損害に備えるための火災保険が必要となります。
入居者対象の火災保険のベースは「住宅総合保険」で、そこに「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」を特約としてセットします。

火災保険とセットで契約するのが「地震保険」。
住宅の火災保険は地震による火災等の損害は対象外です。
火災・倒壊・流失の地震損害の適用を受けるには、別途、地震保険に加入しなければなりません。
火災保険に地震保険がセットになっていますので、オプションを選びます。

ところで、火災や地震など災害に備える保険のほか、近年では賃貸経営をバックアップする保険が広がっています。

入居手続きがスムーズに進むなどのメリットがあるのが「家賃保証」。
入居者募集要項においても保証会社の利用・加入を条件としている物件が増え、全国的に見ても利用割合はここ数年、増える傾向にあります。
保証の範囲は家賃、共益費、駐車場使用料、原状回復費用、賃貸借契約違約金等です。

なお、保険には各保険会社によって、火災保険といっても契約条件、特約などの付帯項目で補償内容が違ってきますので、注意が必要です。



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