2020年1月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

2020年1月号エスト賃貸経営新聞

景気の不透明感が強い中、新年の賃貸ビジネス商談がスタート
ITの急速な進化と多様化が進む経営環境の課題


オーナー様、お取引先の皆様、新年明けましておめでとうございます。
気持ちも新たにオーナー様とともに賃貸経営と取り組んで参りたいと思います。
賃貸経営にとって今年はどんな年になるのでしょうか。
賃貸経営を取り巻く環境などをまとめてみました。

まず、景気の主だった動きを発表された政府データなどをもとに見ていきます。

昨年12月に内閣府から公表された令和元年7~9月期のGDP速報値は、10月の消費税増税に伴う駆込み需要が影響して、GDP成長率は大幅上方修正となりました。
ただし10~12月期はマイナス成長に陥る公算が大きく、増税後の景気は不透明感が強くなっています。

同じく11月の景気ウォッチャー調査(街角景気)の景況感では、「先行きについては、海外情勢等に対する懸念もある一方、持ち直しへの期待がみられる。2~3ヵ月先の景気の先行きに対する判断DIは45.7」との見方を示しています。

また、内閣府と財務省が発表した資本金1千万円以上の法人企業を対象にした10~12月期の「法人企業景気予測調査」の見通しについては、令和2年4~6月期に「上昇」超に転じ、中堅企業、中小企業はいずれも「下降」超で推移すると予測。

一方、帝国データバンクが公表した「2020年の景気見通しに対する企業の意識調査」によりますと、2020年の景気見通しに対して、「回復」局面を見込む企業が6.8%で、2年連続の1ケタ台。
「踊り場」局面になると見込む企業は32.8%、「悪化」局面を見込む企業は37.2%で2年連続で増加と過去3番目に高い水準となり、景気の先行きについて、1年前より厳しい見方を強めている様子が窺えた、としています。

新築が減少している半面
中古物件を取得する傾向強まる


こうした経済の動きも気になるところですが、賃貸市場に強い影響を及ぼす住宅流通量のカギを握る新築動向で、昨年1~10月の貸家新築合計が、前年比13.6%減となっています。
金融機関の融資審査の厳格化が響いて貸家の着工戸数は減少しているものです。
ただ、賃貸経営の人気は依然高く、新築が減少している分、入居者の入る中古物件を取得して賃貸経営に取り組む事例が見られます。

そして、約120年間ほとんど改正されていなかった「民法(債権関係)改正」が可決・成立してから3年を経て今年4月1日に施行され、施行日後に締結された契約については新しい民法が適用されます。

このほかにもAI、スマート化、IoT、クラウドサービス、業務のデジタル化の浸透など、賃貸住宅を取り巻くIT環境が急速に進化を遂げ、多様化が進む入居者ニーズに対応も待ったなしとなっています。

これから春の賃貸ビジネスの商談がスタートを切りますが、昨年実施された消費税増税が契約にどこまで影響を及ぼすのか、気にかかるところです。




「クラウドサービス」の浸透
ネットワーク経由でサービスを提供
今年は賃貸経営の各分野で利用進む



社会のあらゆる分野で「クラウドサービス」の浸透が顕著に見られます。
ではクラウドサービスとは何でしょうか?

総務省の「国民のための情報セキュリティサイト」は、クラウドサービスを「従来は利用者が手元のコンピューターで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で、サービスとして利用者に提供するもの」と説明しています。

つまり、パーソナルコンピューターや携帯情報端末などの機器とWebブラウザ、インターネット接続環境などを用意することで、どの端末からでも様々なクラウドサービスを受けることができるもので、インターネット上にファイルを保存・共有できるサービスです。

一般的なこれまでのやり方では、PCを稼働させて、ワードやエクセルのアプリを使って文書やグラフなどを作成して、できたデータをUSBメモリーなどに記憶させていました。
これをクラウドサービスを使えばネット環境さえ整備されていれば、アクセスして自由に編集や閲覧ができるのです。

インターネットを通じ様々なファイルデータを保存

最も分かりやすい例がGmailやYahoo!メールなどのWebメール。
サーバーを気にせずに日常的に使用しています。
また、スマホとと自動同期してデータをバックアップなどインターネットを通じて様々なファイルデータを保存し、それを活用するわけです。

一言でクラウドサービスといっても多種多様なタイプが運用されています。
よく知られている写真、音楽関係から情報系の専門型などで、有料プランもあれば無料タイプも数多くあります。

今年は賃貸経営のあらゆる分野で爆発的にクラウドサービスの利用が進むと見込まれています。




ニュースフラッシュ
ここ10年間にマンション・アパート(一棟)の不動産価格指数が32.3%増


国土交通省から毎月、住宅の「不動産価格指数」が公表されますが、令和元年第2四半期(7月~9月)分の全国・商業用不動産の「マンション・アパート(一棟)」は132.3となっています。

これは平成22年の平均を100として計算したもので、22年以降、ここ10年で最も高いのは平成29年の第3四半期(10月~12月)の136.3。

令和元年第2四半期の地域別では三大都市圏が130で、三大都市圏以外の地域が140.9と、地方圏の伸びが目立っています。
事実、この3年ほどの間は10ポイント以上の伸びを見せています。

この不動産価格指数は、同省がIMF等による国際指針に基づき、不動産市場価格の動向を表すものとして、全国・地域別、住宅・商業用別の市場分析を通じて、投資環境の整備などが進むことを目的として作成したものです。




「満室経営」の実現に果敢にチャレンジ
満足度を高め、経営の足腰を強める


所有している物件の全てに入居者が入っている「満室経営」を実現するためには、何をどうすればいいのでしょうか。
年の初めにオーナー様とともに改めて考えてみたいと思います。

平成30年に実施された「住宅・土地統計調査」によりますと、注目された空家率は13.6%で、そのうち「賃貸用の住宅」が約433万戸を占めています。
調査時点での瞬間的な数値ではあるのですが、改めて賃貸住宅の空き家数の多さに驚かされました。
こうした実情を背景に、満室経営に取り組むための方法などを取り上げてみました。

すでによく知られていることですが、今日はアパート・マンションを建てて、ほどなくして全室入居が決まる、といった恵まれた時代ではなくなっています。
空室が出れば、いかにしてできるだけ早く入居を決定するかにかかっています。

こういう時代ですから、満室を実現するために、あらゆるノウハウを活用して取り組む必要性が求められているのです。

そこで、満室経営実現、ひいては賃貸経営安定化のためにも取り組みたいポイントを「表」(※下記参照)の通りまとめてみました。
いかがでしょう。
こうしたことの積み重ねが賃貸経営の足腰を強めるのではと考えます。


※賃貸経営安定化のために試みたいポイント
 ◆要望の高い、後付けでも比較的容易に工事ができるエアコン、TVモニター付きインターフォン、24時間出せるゴミ置場などの設備の設置を検討
 ◆長期入居が期待できる高齢者の入居に積極的に対応する、そして住宅の確保にとくに配慮を要する住宅確保要配慮者にも進んで対応
 ◆ますます増える外国人入居にも積極的な姿勢
 ◆基本的な補修、修繕は確実に押さえておきます
 ◆予算的に無理のないリフォームを実施
 ◆常に入居者の気持ちを忖度して、長期入居の妨げとなる阻害要因を極力削いでおきます
 ◆徹底した清掃で美観を保ちます
 ◆仲介、管理会社との連絡を密にして、最新の業界情報を入手

ヒューマン・トラブルへの対応姿勢が物件の評価を左右

そして、賃貸経営のお客様となる入居者に物件とともに付帯するサービスをいかに満足してもらうかです。
入居者にサービス、賃貸住宅の充実を図って、満足度を高めることが経営の安定につながるというものです。

入居者に物件が選ばれる3大要素の一つの「家賃」は、地域における相場があるので逸脱することはできず、二つ目の「立地」も固定されたもので、三つ目の「部屋の広さ・間取り・設備」も決まったものです。
あと、工夫するとすれば何があるかといえば、サービスの徹底ではないでしょうか。
中でも困った出来事、苦情等のヒューマン・トラブルへの対応姿勢が物件の評価を左右します。

とにかく賃貸経営は入居率を高めることが全てです。
これからの賃貸経営は、入居率アップとの競争でもありますから、手をこまねいているのではなく、もし部屋が何戸か空いているなら、今年は何としても満室を実現したいものです。




賃貸経営ワンポイントアドバイス
賃貸経営の根本は物件の価値を高めること
「管理」と入居推進の安定を図る「仲介力」



時代と共に高まるPMの必要性

賃貸経営における「管理」の持つ意味は、単に建物、設備等の清掃や点検作業を担当するだけではなく、不動産価値の最大化を図り、物件の価値を高めることにあります。
単なる建物管理の域を超えて、コンサルティングまでの幅広い領域が管理本来の業務となっています。

その賃貸管理業務の大きな柱は、「建物・設備のメンテナンス」「入居者募集・契約業務」「クレーム・集金業務」「退去手続き、原状回復業務」と続きますが、近年、こうした4つの業務に加えて、5番目として、「物件の高付加価値化を図り、収益アップを図る」マネジメントが重要視されています。
物件のグレードを高め、機能、サービス等の付加価値を高めて収益の拡大を図ることです。

賃貸経営の安定と収益向上を達成するためのコンサルティング業務全般を指しています。
お客様が入居して部屋付け完了で終わりというのではなく、常に先を見据えて、空室対応に手を打つプランニングが求められるのです。
従来の管理から一歩踏み込んだ「管理機能」に「経営機能」を付加したプロパティ―マネジメント(PM)の手法が重要とされているものです。

これからの賃貸経営上、物件のグレード、機能、サービス等の付加価値を高め、高入居率を維持して、収益の向上を果たすために、PMの手法を考慮せずに成り立たないのではと考えられます。

賃貸経営の根本は、物件の価値を高める管理と入居推進の安定を図る仲介力に特筆されますので、基本的には仲介のご案内と管理のお手伝いをさせていただく私どもとの密接な連携が、長い目で見れば空室対策となり、賃貸経営の安定につながると信じております。

理屈っぽいお話になりましたが、年の初めに今一度、賃貸経営の原点ともいえる管理の重要性を強調させていただいた次第です。




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