2020年7月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

2020年7月号エスト賃貸経営新聞

コロナ禍を契機に賃貸仲介業務にも各部門で大きな変化の兆し
ネットワークサービスの拡充がスピードアップ


新型コロナウィルスの感染再拡大に備える中、経済活動が徐々に再開しています。
賃貸住宅市場におきましても、従来の発想にとらわれずに消費者の多様なニーズに応えるデジタル化への動きが急ピッチです。
賃貸経営が直面する問題点などを取り上げてみました。



4月7日に発令された緊急事態宣言が5月25日に解除され、1ヵ月以上経ちますが、経済活動はフルパワーには至っていません。
そこで、コロナ禍によって苦境に立たされている企業や産業界を支援するための政策が打ち出されています。
一方で、感染の第2波、3波に備える動きは一段と強くなっています。

6月12日には、売上が大幅に落ち込んだ中小企業や個人事業主を対象に、テナント賃料を最大で600万円を給付する、「家賃支援給付金」が盛り込まれた第2次補正予算案が可決、成立しました。
これでコロナ終息後の市場の回復に弾みをつけたいところです。

その景気の見通しについて、内閣府が6月8日に公表した、景気の指標となっている「景気ウォッチャー調査」は、「新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況にあるものの、悪化に歯止めがかかりつつある。先行きについては、厳しさが続くものの、持ち直しへの期待がみられる」とまとめています。

今の時期、楽観的な予測はそうそう見つかりませんが、需要を喚起して、これからの早期のV字回復に期待したいものです。

賃貸住宅関連では、アパート・マンションの賃貸住宅をお客様にご紹介する店頭での案内が原則でしたが、消費者の非対面ニーズの高まりによって、従来からのソーシャルネットを使ったサービス人気が集まり、最新のデジタル化の応用に拍車がかかっています。

Web接客と工夫を凝らした対面接客の仲介業務が一般化

新型コロナウイルスの影響を受けてオンラインサービスの多様化が進んでいますが、部屋を紹介するプロセスにおいてネットワークサービスの拡充がさらにスピードアップしそうです。
重要事項説明書をスマホやパソコンを使って実施する「IT重説」もよく知られており、導入から3年が経ち、これまでの利用頻度がさらに進むとみられます。

今後はインターネット、スマホを利用し、VRゴーグルを装着したWeb接客と工夫を凝らした対面接客を交えた仲介業務が一般化するとみられます。

最近発表された報道によりますと、次世代データベースのブロックチェーン技術によって、物件検索から賃貸契約、入居手続きまでをPC、スマホで完結できるシステムの実用化が遠くないところまできました。
コロナ禍が賃貸市場のあり方を大きく変える起爆剤となっているようです。

オンラインサービスの動向をまとめた2面の「不動産テック」と「テレワーク」の記事も参照してください。
 
 
 
これからの賃貸経営を支援する「不動産テック」
コロナ禍の環境変化に役割を果たす
 
 
賃貸経営に関連して、最近とみに目にする機会が増えているのが「不動産テック」。
「不動産とテクノロジーの融合」を意味する不動産テックと賃貸経営の関りをまとめてみました。
 
不動産テックとは、「テクノロジーのチカラによって、不動産売買、賃貸、投資の新しい仕組みを生み出したり、従来の商慣習を変えようという取り組みのことで、『不動産』と『テクノロジー』を掛け合わせた造語」(フリー百科事典・ウィキペディア)と、説明されている通り、最先端のテクノロジー(科学技術)を活用して不動産に関するサービスを展開するというものです。

サービス領域は、AI(人工知能)を利用した物件提案やIoTを利用したスマートロック、防犯カメラ、VR(バーチャルリアリティ)を利用した内覧システムなどと幅広く、高機能化のスピードには目を見張るものがあります。

さらに、技術革新が進み、ハイレベルなメカニックの実用化が進んでいます。
とくに、IT重説の本格運用を機に、賃貸現場のIT化が加速しています。

コロナ禍によって私たちを取り巻く生活環境は一変するとともに、賃貸経営の環境も変化を余儀なくされたことから、不動産テックを活用したサービスが脚光を浴びているのです。

非対面化がより強く求められ
不動産テックに大きな期待


ここ10年の間に不動産市場において、ITの広がりは目覚ましく、賃貸市場においてもとくにインターネット、スマホの利用拡大が契機となって次々と新技術が登場しています。
賃貸住宅の性能向上及び賃貸経営の環境整備に大きな役割を果たしているのは、良く知られている通りです。

賃貸経営を支援する不動産テックについては、インターネットを使った物件の広告・PRを通じて早くから使われてきました。
中でも顧客のニーズとして、インターネット・Wi-Fiの人気が高く、設備の取り付けに工夫をした実績を持ちます。
この後、スマホを利用したカギの管理が進んでいたところにコロナ禍によって、VRを含めたIT化の実用化が急浮上しているものです。

新型コロナウィルスの影響が長期化するに伴い、今後、賃貸市場において非対面化がより強く求められ、集客~契約関連の業務を支える総合的なサポートが重要視されているだけに、不動産テックの役割に大きな期待が寄せられています。




賃貸経営ワンポイントアドバイス
<短期連載>「テレワークと賃貸経営」
導入進み、次代の賃貸経営の鍵を握る



リモートで新しい事業展開

テレワークとは情報通信技術を利用し、場所や時間を有効に活用できる柔軟な働き方とされています。
要は在宅勤務で、モバイルワーク、リモートワークとも呼ばれ、テレワークで働く人をテレワーカーと呼びます。

多様な働き方として、政府においても普及拡大に向けた環境整備、普及啓発を推進しています。
それが新型コロナウイルス感染症拡大とともに、急激な広がりを見せているものです。

では、テレワークと賃貸経営とはどのような関係があるのかということです。

賃貸経営では、入居を希望するお客様との交渉からスタートします。
その前にオーナー様との打ち合わせも時として必要となります。

お客様と入居に向け話が具体的に進んで、物件説明(下見案内)、契約手続き、ガス・電気などの生活インフラの契約を経た後も、入居後のクレームや設備の不具合が発生すれば面談等の濃厚接触が起きてきます。

しかし、賃貸市場でも非対面の要望が強くなったり、コロナ禍対策として、できるだけ接触を抑えた業務が求められます。
そこで浮上するのが、集客から契約業務における、Webなどを導入したテレワークの本格化です。

またWebやテレワークで賃貸関連の契約全てが完結する技術が確立されてはいませんが、日進月歩の世界ですから、集客~契約までの業務がワンストップで実現する日も近いと思われます。

つまり、今後、オーナー様⇔仲介・管理会社間が情報通信技術を活用したテレワークのつながりで一層密になると考えられます。
現在のスマホなどを使った物件確認・内見予約・カギの受け渡し・申し込み・重要事項説明・契約といった一連の業務がテレワークでシステマチックに完結するものです。

次代の賃貸経営の鍵を握るのは、テレワークではないでしょうか。




ちょっと一服
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が成立


サブリースに関するトラブル防止のため、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が6月の国会で採決され、成立しました。
1年以内に施行されます。

サブリース業者を初めて規制する法律で、サブリース業者に対し、勧誘時に故意に事実を告げず、不実を告げる等の不当な行為を禁止し、サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の締結前の重要事項説明を義務付けています。

賃貸住宅の管理業務を巡りトラブルが発生するケースが増え、とくにサブリースに関連して、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが起き、社会問題となっていることから、法制化が進んだものです。

また、サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う者についても、契約の適正化のための規制の対象となっています。
このほかにも、賃貸住宅管理業に係る登録制度が創設され、賃貸住宅管理業を営もうとする者について、国土交通大臣の登録を義務付けられます。

今年は春のシーズンがあっという間に終わったかと思えば、身体にも建物にも厳しい夏の到来です。
これから数ヵ月、コロナに気後れすることなく、仕事に打ち込んで参りたいと思います。




「令和元年度土地問題に関する国民の意識調査」
不動産取引時に参考にしている情報は
不動産会社の広告、ホームページが多い



「令和元年度土地問題に関する国民の意識調査」の結果が国土交通省から公表されました。
全国の20歳以上の男女3,000人に、土地・住宅に関する考えを面接してまとめたものです。
調査結果の要点をまとめてみました。

土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産であるかに対して、「そう思う」と答えた割合が27.1%、「そうは思わない」が45.3%、「どちらともいえない」が21.4%となっています。

「そう思う」は前年度から5.5ポイント低下し、初めて30%を下回って過去最低となった一方、「そうは思わない」は前年度から5.9ポイント上昇し、過去最高となっています。

不動産取引時に参考にしている情報については、「知人・友人の話」が26.8%、「不動産会社の広告(チラシ、新聞広告等)」が24.3%、「不動産会社等のホームページ」が23.9%と高く、「不動産の情報誌」(21.9%)「不動産会社や展示場を訪問して得る情報」(20.8%)が続いています。

価格以外に周辺の公共施設等の立地状況・学区情報を参考に

「わからない」と答えた者の割合は16.2%。
前回の調査結果と比較してみると、「地価公示、都道府県地価調査」「路線価、固定資産税評価額」がそれぞれ5ポイント低下しているが、概ね大きな変化は見られません。

不動産を買ったり、売ったりする際に、価格以外の情報に関して、主にどのような情報を参考にしたかについては、「周辺の公共施設等の立地状況・学区情報」が50.8%と最も高く、以下、「ハザードマップ等の災害に関する情報」(35.4%)、「住宅の維持保全に関する情報」(18.4%)、「過去の取引履歴」(17.2%)などとなっています。