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2019年6月号エスト賃貸経営新聞

「平成30住宅・土地統計調査」の概数集計結果公表
賃貸住宅の空き家、25年に比べ2万戸増の431万戸


わが国住宅政策の根幹のデータといわれている「平成30年住宅・土地統計調査」の住宅数概数集計の結果が総務省から公表されました。
昭和23年以来、5年以一度実施されているもので今回は15回目。
概要の発表としては前回より早く、内容が注目されています。

平成30年10月1日現在の全国の住宅と土地に関する事項についての概数をまとめたもので、わが国の住宅数や空き家に関する実態が浮き彫りになっています
いち早く発表された概数の集計から、今日の日本の及び賃貸住宅の実情を見ていきたいと思います。

昨年10月1日現在のわが国の総住宅数は、5年前の前回調査に比べて175万戸、3%増え6242万戸。
総住宅数の推移を見ると、これまで一貫して増加が続き、昭和63年から平成30年までの30年間で2041万戸増加しています。

総住宅数を都道府県別に見ると、東京都が767万戸と最も多く、次いで大阪府が468万戸、神奈川県が450万戸、愛知県が348万戸、埼玉県が399万戸となっています。

総住宅数の内訳を居住世帯の有無別に見ると、「居住世帯のある住宅」は5366万戸、86%、空き家、建築中住宅などの「居住世帯のない住宅」は876万戸、14%。

ところで、調査結果で気になる空き家数ですが、846万戸と平成25年に比べて26万戸、3.2%の増加となっています。
そして、総住宅数に占める空き家率は前回調査に比べ0.1ポイント上昇して13.6%と過去最高です。

空き家数の内訳は、賃貸用の住宅が431万戸で、25年に比べ2万戸の増加。
売却用の住宅が29万戸と1万戸の減少、別荘などの二次的住宅が38万戸と3万戸の減少、その他の住宅が347万戸と29万戸の増加となっています。

賃貸住宅の割合が高いのは市場の需要の振れが影響

平成15年以降、賃貸用の住宅の空き家に占める割合は低下しているのですが、その他の住宅の割合は上昇を続けています。
公表されたものは概数で、これから時間をかけて詳細な内容が明らかになります。


このように、空き家のうち賃貸住宅の割合が高いのは、市場における需要の上下の振れで影響が表面化していることが見逃せません。
一概に賃貸住宅が供給過剰になっているとは言い切れないものがあります。

都道府県別の空き家率で最も高いのは、山梨県の21.3%。
次いで和歌山県が20.3%、長野県が19.5%、徳島県が19.4%、高知県、鹿児島県が18.9%。
空き家率が最も低いのは、埼玉県、沖縄県の10.2%。
次いで東京都が10.6%、神奈川県が10.7%、愛知県が11.2%となっています。

なお、空き家の内訳を建て方別に見ると、一戸建が317万戸、長屋建が50万戸、共同住宅が475万戸で、共同住宅が6割近くを占めています。




「日本の世帯数の将来推計」
次第に世帯数が減少する都道府県数増加
6年先に単独世帯が全都道府県で最大



厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所はこのほど、賃貸住宅需要と密接な関係にある「世帯数」の将来を予測する2019年推計の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」公表しました。
2015年の国勢調査を基に、2015~40年の25年間についての将来推計を行ったものです。

それによりますと、世帯数が減少する都道府県数は今後次第に増え、2035年までには沖縄県を除く46都道府県で世帯数が減少し、2040年の世帯数は、42道府県で2015年よりも少なくなる、としています。

平均世帯人員2015年から2040年には、すべての都道府県で減少し、2015年に平均世帯人員が1.99人となった東京都に続き、2040年までに北海道や高知県で平均世帯人員が2人を下回るようです。

2015年に41都道府県で最大の割合を占めていた単独世帯は、2025年には全都道府県で最大となり、65歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2030年には全都道府県で30%以上となって、2040年には45道府県で40%を超える、としています。

75歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2040年には東京都を除く46道府県で20%以下となるようです。

賃貸経営の管理に一層重要性が増してきます

20年ほど先の予測だけに、若干の差異が生じても、大きなうねりとして世帯数の減少にいよいよ直面せざるを得ないということになります。

人口の減少より、世帯数の減少傾向が住宅市場の縮小に影響を投げかけることから、これからの賃貸経営には、やはり管理の重要性が一層高くなることが考えられます。




ニュースフラッシュ
4月の街角景気は改善、2ヵ月ぶりの上昇
先行きについては海外情勢等に対する懸念



内閣府が公表した、調査期間が4月25日~月末の4月景気ウォッチャー調査(街角景気)によると、「3ヵ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは45.3となった。雇用関連のDIは低下したものの、家計動向関連、企業動向関連のDIが上昇したことから、前月を0.5ポイント上回り、2ヵ月ぶりの上昇となった」。

一方、2~3ヵ月先の景気の先行き判断DIについては、「家計動向関連DIが上昇したものの、企業動向関連DI及び雇用関連DIが低下したことから、前月差0.2ポイント低下の48.4となった」としています。

先行きの景気判断理由として、「旺盛なオフィス需要は当面続くと思われるので、特に都心部において賃貸業を営む当社の将来における景況感は良い」(南関東=不動産業)という声が上がっています。
景気ウォッチャーは、「回復に弱さがみられる。先行きについては、海外情勢等に対する懸念がみられる」とまとめています。



「平成30年度住宅市場動向調査報告書」に見る入居者像

家賃、立地、部屋の広さの3点に集約


「住宅市場動向調査報告書」の平成30年度版がこのほど、国土交通省から発表されました。
住宅白書といわれるこの調査結果から、賃貸住宅入居者の今日の平均像が読み取れます。

首都圏、近畿圏、中部圏を中心に実施されたこの調査は、賃貸住宅市場の全体的な傾向を理解するのに参考になります。

その調査によりますと、「賃貸住宅の選択理由」として、「家賃が適切だった」が最も多く、全体の50%を占め、次いで、「住宅の立地環境が良かった」「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かった」「昔から住んでいる地域だった」「親・子供などと同居・または近くに住んでいた」からが続き、これらがベスト5となっています。
そして7位が「信頼できる不動産業者だった」と、過去5年間ほぼ同じ結果です。

賃貸住宅を選ぶ理由として、やはり家賃、立地・環境、部屋の広さ・設備の3点に集約されていることがよく分かります。
その上で、「信頼できる不動産業者」の適格なアドバイスで契約されているのが市場の実態といえそうです。

また、物件に関する情報収集の方法として「不動産業者で」が約50%、次いで、「インターネットで」が約40%と、賃貸物件を探す窓口は専門の不動産会社が首位となっています。
過去5年間を見ても主流は不動産業者とインターネットのようです。


対面して物件を理解し、納得した上で契約を結ぶ

インターネット、スマホのソーシャルネットワークサービスがこれだけ普及しても、人と人が対面して物件を詳細に吟味し、納得した上で契約を結んでいるのがよく分かります。
賃貸市場において、部屋を探す基本は入念に説明を受けた上、信頼できる不動産会社の窓口で契約するスタイルがベースとなっているようです。

次に、賃貸住宅を選ぶ際に重要視した設備は「間取り・部屋数が適当」「住宅の広さが十分」「住宅のデザインが気に入った」「浴室の設備・広さが十分」「台所の設備・広さが十分」などで、ここ5年間の上位5項目です。

ところで、賃貸住宅の建築時期(築年数)は、「平成27年以降」が約25%、「平成17~26年」が約16%、「平成7~16年」が約17%、「昭和60~平成6年」が約20%、「昭和50~59年」が約7%、平均築年数は17.2年で、およそ新築~築4~5年ものが全体の4分の1程度を占め、賃貸市場は新築~築40余年の物件で構成されているのが分かります。




賃貸経営ワンポイントアドバイス
重要事項説明の徹底で「心理的瑕疵物件」のオープン化進み、隠すことなく紹介


経営に与えるダメージが大きい

賃貸経営において、建物内で刃傷事件などが起き、最悪人が亡くなることにでもなれば経営に与えるダメージは大きく、物件は「瑕疵」扱いされます。

アパート・マンションでの自殺や他殺といった事件の後、事故物件化すれば入居者募集に苦戦して、借り手が遠のき、経営に悪影響を及ぼし、取り壊しを余儀なくされるということも起きかねません。

賃貸経営は、様々な方の入居が続くことから、事件・事故と逃げられないところもあるのですが、事件・事故が引き金となって心理的に徐々に影響を及ぼすのがこたえるわけです。
中でも人の死が関わってくると悲惨な局面でなくても忌み嫌う心理が働いて、心理的瑕疵物件の烙印がつきかねません。

「心理的瑕疵(しんりてきかし)」の賃貸物件についてテレビやインターネットで取り上げられる事例が見られます。
中には恐怖の入居体験と題する話が掲載されています。

かつては、ひっそりと事故物件として案内されていたのですが、今では物件を検索するポータルサイトには「心理的瑕疵物件」コーナーが設けられ、とくにここ数年は時代の変化をまざまざと見る思いで、隠すことなく紹介されています。
そして、なぜ「心理的瑕疵物件」と呼ぶのか詳細な理由まで説明されています。

従来、事件・事故物件があってもやや明確さに欠ける説明でお茶を濁すところもあったのですが、重要事項説明の徹底で、「重要な事実の告知義務」から、ほとんど隠すことなくオープンにするようになってきました。
「重要な事実」を告げなかったために、後になって不利益が出た場合、告知義務違反に問われかねません。

消費者保護の徹底でもあります。

では、心理的瑕疵の発生を防ぐために、具体的にどのように対応すればよいかを次回に取り上げたいと思います。



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