2020年9月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

2020年9月号エスト賃貸経営新聞

予断を許さない新型コロナウイルス感染拡大の中、変革進む
一定の安定感見せる「コロナ禍における賃貸住宅市場」


新型コロナウイルス感染拡大が予断を許さない厳しさを見せています。
経済活動は持ち直しの動きが見られるも低水準を推移。
一方、コロナ禍に対する対応策が各分野において果敢に打ち出されています。
「コロナ禍における賃貸住宅市場」の概況をまとめてみました。


直近の賃貸市場の景気動向に関して、不動産情報サービスのアットホーム(株)によりますと、4~6月期の「地場の不動産仲介業における景況感調査」で、「首都圏・近畿圏における今期業況DIは、新型コロナウイルスの影響を受け賃貸仲介・売買仲介ともに前期より大幅悪化。いずれも平成26年1~3月期の調査開始以来最低値を記録。一方、来期業況は回復見込み」としています。

同じく、同社が公表した全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(令和2年6月)によりますと、「マンションの平均募集家賃は、東京23区・神奈川県・埼玉県・名古屋市・福岡市が全面積帯で前年同月を上回る。シングル向きマンションの平均募集家賃は、全エリアで前年同月を上回る」と、捉えています。

ところで、新型コロナウイルスの感染症拡大とともに、話題を集めているのが、在宅勤務の「テレワーク」です。
「会社員、公務員の47%がテレワークを実施している」(リクルート住まいカンパニー調査)、と見られています。
 
テレワーク需要の高まりを受けて賃貸マーケットも素早く反応して、「テレワーク、在宅勤務向け物件」の整備が進められています。
そしてテレワークといえばインターネットは必須ですから、ネット環境の完備が条件となります。
在宅勤務・テレワークの定着がどこまで本格化するのか、今後の動きを見ないと分かりませんが、テレワークの動向は常にチェックしておく必要がありそうです。

「賃貸書面電子化」など加速する「ITシフト」

一方、国土交通省ではこの8月、「賃貸取引における重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係るガイドライン」を改定して、9月1日から来年3月末まで再度、「賃貸書面電子化に係る社会実験」を実施します。
コロナ禍を機に加速している「ITシフト」を完備し、非対面型業務の推進を図るものものです。

ところで、賃貸住宅の新設は鈍く、6月の貸家の新設着工は、前年同月比13%減の約2万7千戸で、22ヵ月連続の減少となっています。
金融機関の融資の慎重姿勢が続いており、今年1~6月の新設の合計は、前年比11%減の約15万戸。
4、5月の緊急事態宣言期間中の住宅各社の受注の落ち込みが今後表面化することから、当面、新設の減少が続くと見られています。

新型コロナ感染に市場も影響を受けていますが、引越しには負担もあって、現状では入退去、賃料等に「安定感」を見せています。




「平成30年住生活総合調査」に見る借家の評価
借家の不満率は30年でほぼ半減


国土交通省から5年周期で実施している「平成30年住生活総合調査」の(確報)がこのほど公表されました。
住宅及び居住環境に対する評価や、今後の住まい方の意向などが明らかになっています。


すでに調査の概要は今年1月に(速報)として公表されましたが、今回、より詳しい「確報集計」が公表されたものです。
借家に関連する部分を中心にまとめてみました。

借家の住宅及び居住環境に対する総合的な評価は、不満率が昭和58年~平成25年までは減少していたが、平成30年は約25%に微増しました。
持ち家と借家とを見ると、その不満率は借家の方が高いが、昭和58年の14ポイント差から平成30年は5.4ポイント差に減少しています。

借家の住宅に対する評価に関しては、不満率は昭和63年以降減少しており、昭和63年の約64%から平成30年に約33%となっています。
持ち家と借家の不満率は借家の方が高いが、その差は昭和58年の21ポイントから、平成30年に約14ポイントと減少。

賃貸住宅の建物、また居住環境が年々改良されたことが、こうした調査結果にも表れているのが分かります。

住み替えた世帯のほぼ半数が、借家から借家への住み替え

ところで、借家の住居費負担に対する評価について、「ぜいたくはできないが、何とかやっていける」が約51%と最も高く、次いで「ぜいたくを多少がまんしている」が約22%、「家計にあまり影響がない」が約16%、「生活必需品を切りつめるほど苦しい」が約8%となっています。

最近5年間に住み替えた世帯の割合は、ほぼ半数が借家から借家への住み替えで、借家から持ち家への住み替えも含めると、約75%が借家からの住み替えです。
住み替えの理由として借家から借家では「居住費の負担の軽減」が約48%と最も多く、「現在借家の世帯」は「持ち家への住み替え」意向が43%となっています。

借家に住む世帯の住み替えの目的は、「結婚による独立」「家族等との同居・隣居・近居」「子育てのしやすさ」「広さや部屋数」「使いやすさの向上」「性能の向上(断熱性、省エネ性など)」「新しさ・きれいさ」「住居費負担の軽減」「災害に対する安全性・治安」など。

借家に住む世帯の住み替え意向を現住居の建築時期別に見ると、「平成28~30年9月」建築の住宅に住む世帯がピークで、実施時期は「1年先~3年以内」とする世帯が多くなっています。




賃貸経営ワンポイントアドバイス
<短期連載>「入居者ニーズの変化」
部分的な変化が起きるかもしれません



「テレワーク対応型・賃貸住宅」が入居募集の主要な条件になるかも

本格的な「入居者ニーズの変化」が発生しているとは、まだ断定できませんが、コロナ禍の影響を受けて少しずつですが、市場の賃貸ニーズにも変化の兆しが見えています。

その第一は、今後さらに広がりが予測されるテレワーク勤務に備えての住居選びです。

通信環境が整っていれば場所をとくに選ばないので、従来住居選びの上位に挙げられていた通勤のための最寄り交通機関の利便性が後退して、在宅時間が長くなるために住居の広さがより優先されています。

こうしたテレワークの広がりを受けて、住宅・設備メーカーから在宅勤務向けの賃貸物件や関連設備が相次いで発売されるなど、市場の動きが活発で、あと半年もすれば「テレワーク対応型・賃貸住宅」が入居募集の主要な条件になるのではないでしょうか。

そのためにリフォームも、従来の水回り設備の刷新や模様替えに加えて、ワーキングスペースを設けたり、インターネット設備の高速回線や接続ルーターに気を配ることも必要になってきます。

あまり先々のことを心配することもないのですが、教育現場が進めている「オンライン授業」も一時的なものか、定着して本格的に採用されるかによって、学生の賃貸需要に変化が出てきそうです。

今後、オンライン授業が定着したとしても、そのために学生向けの賃貸マーケットが大幅に減少するとは考えられないのですが、部分的な変化が起きるかもしれません。

このほかにも、場所に縛られずに地方を活用する働き方を提案し、どこでも働ける環境を整えるプラットフォーム構想を立ち上げる事業が、(株)LIFULLによってスタートしています。
働く・職場・住む・自宅・都市・地方・生きがいといった概念に少しずつ変化の兆しが出始めているように見えます。




ちょっと一服
ちゃんと、テレワーク業務をチェックするアプリがあるのです


コロナ禍を機にテレワークの広がりが注目される一方、テレワークの長所や問題点が調査会社や、シンクタンクから公表されています。
そんな中、エッと思わせるレポート、『モニタリングAIの衝撃』が第一生命経済研究所から発表されました。

レポートに目を通して「エッ」と思ったのは、テレワークしている部下がさぼっているのではないかと心配する管理職の不安感を取り上げ、不安を解消させるために、キーボードやマウスの操作履歴を基にテレワークしている社員をモニタリングしようとすることです。

そのためにモニタリングソフトを使うのですが、これは見えないところで働く社員を監視するだけのものではなく、部下の生産性をリアルタイムで知ることができて、労働の効率性や問題点を的確にスピーディーにアドバイスできる優れモノとのことです。

テレワークで一歩先を行くアメリカならではのアプリですが、わが国もこれからテレワークの広がりとともに、多様なソフトの開発が本格化すると思われます。




水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化
宅地建物取引業法施行規則の一部を改正
売買、賃貸ともに対象。8月28日に施行



宅地建物取引業法施行規則の一部が改正されました。
不動産取引時に、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を、事前に説明することを義務づけるもので、この8月28日に施行。
売買、賃貸ともに対象となります。

国土交通省は、宅地建物取引業者が不動産取引の際、ハザードマップを提示し、取引きの対象となる物件の位置等について情報提供するよう、昨年7月に不動産関連団体を通じて協力を依頼しました。
それを政令改正によって、重要事項説明の対象項目として追加し、不動産取引時にハザードマップにおける取引対象物件の所在地について説明することを義務化したものです。

具体的な説明方法など
ガイドラインを明確化


宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)について、具体的な説明方法等を明確化するために、「水防法に基づき作成された洪水・雨水出水・高潮の水害ハザードマップを提示し、対象物件の概ねの位置を示す」ほか、「市町村が配布する印刷物または市町村のホームページに掲載されているものを印刷したものであって、入手可能な最新のものを使うこと」としています。

また、「ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましい」「対象物件が浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮すること」等を追加しています。

相次ぐ大規模水災害により甚大な被害が生じていることから、ハザードマップの活用を促し、防災に役立てようとするもので、広く消費者への注意喚起にもなります。なお、地域ごとの様々な種類のハザードマップが「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/)で閲覧できます。